HONMA STORY

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地域に愛される学校へ~新潟第一中学・高等学校建替工事

平成30年にスタートした建替工事は、令和2年8月に第二期に突入しました。既存校舎一棟と第一体育館を解体し、特別教室が入る校舎・南棟と大体育館を建築して建替プロジェクトを完了させるという内容です。第一期工事を担当した茨木・栗津と、新入社員2名を含む新たなメンバーたちを率いて、本間所長は令和4年度の供用開始を目指します。課題を解決し、機能性とデザインを追求した1年半の軌跡とは?

※この記事は、「新潟第一中学・高等学校」の後編です。
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生徒や地域への配慮を徹底する

第二期工事においても、現場と校舎、近隣の住宅とは至近距離にあるため、騒音・振動対策は引き続き大きな課題でした。「むしろ今回の工事の方が大規模で、距離もより近いので、第一期以上に気を配りました」と本間。既存校舎との切離しは、授業時間帯をさけるとともに、一般的には大型重機で一気に解体するところを、極力振動を抑えるために細かく工区を分け、小型重機や人力作業も交えて作業を進めていきました。そのために、工程を何度も見直し大幅な遅延の発生を抑えました。

また、工事関連情報のポストイン及びゲート脇のお知らせ看板の設置、周辺の清掃、除草作業や除雪作業を行うとともに、話しかけてこられた近隣の方の質問にも答えるなど、綿密なコミュニケーションを図り、丁寧な対応を重ねました。「たとえば災害時には学校は避難所になったり、イベントや講演会の会場になることもあるように、学校は地域に開かれ、地域の方々に愛される場です。そのような関係性を構築するためにも、工事での配慮は大切だと考えています」。

機能+意匠で学習環境を整える

副所長として現場の管理を務めた茨木は、学校とのコミュニケーションを綿密にとりました。特に特別教室が集まっている南棟では、各教科の先生と図面を見ながら打ち合わせ、細かな要望を工事に反映させたと言います。「着工から約4年経ち、学校運営のスタイルが変わってきたからです。たとえば、コンピュータ室では、有線が無線LANに、デスクトップがノートPCに変わったため、机の配置や設備を変更。逆に機材を更新せず、既存のものをそのまま使いたいという要望も出てきました」。一般教室と違い、教科により必要な設備や機能がそれぞれ異なるため、細やかな対応が必要でした。

南棟3階のメディアホールは、広大な曲面を描く高い天井が特徴的ですが、こだわりのデザインを施工するには高い技術が必要でした。「曲面を見栄え良く見せる技術は大変難しく、職人さん泣かせ。一見きれいに仕上がったようで、照明をつけるとわずかな凹凸が陰影を造ったりするので、気が抜けないんです」と、南棟を担当した齋藤。ここでは、他にも窓の欄間のデザイン、床下空調など初めて経験する意匠や技術が多く、学ぶことが多かったと言います。

多くの作業員と共に目標に向かう

栗津は協力会社と共に大体育館建築に挑みました。「大規模な現場では関わる人数が多く、工種も複雑なので、手戻りがないよう何度も工程を見直しました」。工程を先読みして指示を出し、天候をチェックして備えましたが、荒天時には作業を中断しなければならない事態も。「仮設の屋根を掛け、工程を練り直して遅れを取り返しました」。それだけに、体育館の屋内天井の塗装が終わり、足場を撤去し、「曲線を描く天井の全貌を見たときの感動と達成感はひときわでした」。

入社2年目の清水はコンクリート打設を担当。この現場では、基礎・柱に加え壁面にもコンクリートが用いられ、「コンクリートポンプ車2台、職人さん30人をどう動かすのか、段取りが重要でした」。難しかったのは、型枠の強度や出来上がった時の見栄えを考え、数回に分けてコンクリートを打設するタイミングと、体育館の両妻側の壁面の仕上げ。「コンクリートはその時の天候の影響を受けるので、品質管理が重要なのですが、先輩からの指導をうけながらしっかり対応できてよかったです。完成が待ち遠しいです」と笑顔を見せました。

新人にとっての大きな第一歩

山本と田中にとってここが初めての現場です。工程管理のための写真の撮影と整理、様々な書類作成を行いながら、施工について学んでいます。
「大学では設計が中心だったので、施工については知らないことが多く、壁の内部はこういう構造なのか、だから様々な工程が必要なのかと初めて実感しました」と山本。先輩から左官工事の管理を学んでいますが、その中でコミュニケーションの大切さに気づきました。「職人さんと話していると『実はここはこうで』などと教えてくれ、それが勉強になるんです。話ができなければ、知りえないことですよね。だから、積極的に話しかけること、また、話ができるような基本の知識は、最低限身に付けておくことを心掛けようと思っています」。

田中も施工についてはゼロからのスタート。体育館建築のために屋根の鉄骨が搬入され、クレーン車で吊り下げられた時、その大きさに圧倒され、施工の醍醐味を知りました。心がけているのは、先を見通すこと。「工事の完成までは予想以上に多くの工程があると分かったので、目の前のことだけでなく、先の作業を考えて今、何をどのように行うべきかを考えなくては、と思っています」。「この先、通りかかる度にいろいろ思い出しそう。忘れられない場所になると思います」と、ふたりは完成間近の新校舎を見上げました。

人×人の「チーム力」で完成へ

平成30年に始まった建替工事は、今、竣工を迎えようとしています。「最盛期には150人の作業員が関わった大きな現場ですが、大幅な遅れや事故もなく進められたのが本当に幸いでした。同時期の建設現場を悩ませたコロナの感染拡大によるウッドショックや半導体不足の影響も、私たちにとっては大きな脅威にはなりませんでした。躯体工事中の頃から、当社の各現場や協力会社からの情報がすばやく水平展開され、早期に必要資材を手配したため、工程の滞りは起こらなかったのです」と本間。

「私たちも設計図から施工図を起こし、必要な資材の数量と納期の管理に万全を期して臨みました」。協力会社と本間組、それぞれの情報力と行動力が、強固な団結でかみ合ったことで乗り越えられたのです。モノづくりを支えるのは「人」であり、人の力が結集した「チーム力」により、今回の工事・新潟第一中学・高等学校建替工事を成し遂げることができました。新校舎2棟、体育館1棟に生徒たちの歓声が響く日が近づいています。

本工事について

工事名 新潟第一中学・高等学校建替工事
施工地 新潟市中央区関新3丁目3番1号
工期 2018年7月7日~2022年3月31日
面積 敷地:25,069平方メートル
建築:6,315平方メートル
延床:19,111平方メートル
構造 RC造(一部S造、SRC造)
地上:7階建て(中央棟)、3階建て(南棟)、2階建て(大体育館)
軒高:28.650m(中央棟)、11.450m(南棟)、8.505m(大体育館)
最高高さ:31.315m(中央棟)、13.775m(南棟)、14.350m(大体育館)
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