工場建設を通して、
街の経済を支える
~一正蒲鉾株式会社様 本社第二工場建設~
建築事業
一正蒲鉾(株)本社第二工場
プロジェクトの概要
新潟市東区に本社を置く、水産練製品メーカーである「一正蒲鉾株式会社」様は、2023(令和5)年4月に、本社と同じ敷地内に「本社第二工場」を竣工されました。この工場は、同社の主力商品の1つである「カニかま」の県内外にあった製造拠点を1ヶ所に集約し、生産効率を上げ、生産量2割増の計画のもとに建てられたもの。一正蒲鉾株式会社様のこの一大プロジェクトに、本間組も2021(令和3)年より工場建屋の建設を担当する者として共に挑みました。
プロジェクトメンバー
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Aさん 建築事業本部 建築部 工事課
1999年 新卒入社小さいころからものづくりが大好きで、大学で建築を専攻。現地で目の当たりにして建築物がつくられる様子を感じたく、施工管理職を志望。民間工事・公共工事問わず大小20以上の物件に携わる。
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Bさん 建築事業本部 建築部 工事課
2011年 新卒入社公共工事・民間工事・災害復旧など、16物件におよぶ多様な建築現場を経験。高校は普通科文系クラスだったが、意匠設計に憧れ、大学では建築を専攻。
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Cさん 建築事業本部 建築部 工事課
2018年 新卒入社新潟県内で病院、幼稚園、工場などの建築現場を経験。現在は、設備を専門にした施工管理業務を行っている。最近は週末に社会人ラグビーチームの練習に参加し、試合出場を目指している。
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Dさん 東京支店 建築部 工事課
2022年 新卒入社新潟県内で2年半、倉庫・工場・事務所の改修などの現場を経験。3年目に出身である東京支店に異動になり、現在はさいたま市で物流施設の工事を担当。
稼働工場(本社工場)との隣接地ゆえの課題
Aさん
- まず大きな課題は、同じ敷地内にすでに稼働している本社工場があることでした。この工場は、1年で1日ほどしか製造ラインを止めることがなく、ほぼ毎日稼働していたので、今回の新設工事の影響で電力供給が滞り、製造ラインを止めてしまうというようなことが起きると一大事。この点で、大きなプレッシャーを感じていました。また同じく敷地内に、事業所内保育園があり、工事車両の導線など、安全面でも細心の注意を払う必要がありました。
Bさん
- 「本社工場の稼働を止めてはならない」という非常に大きなプレッシャーを私も感じていました。特に、新工場への電力供給のために、本社工場の電源を一時的に停止し、夜間12時間の間に切り替え工事を完了させる必要があった日の緊張感は格別でした。何カ月も前から、協力会社と共に発注者との打ち合わせを重ね、机上で何度もシミュレーションを繰り返し迎えた本番当日。大きなトラブルもなく、予定通りに作業を完了させることができ、胸をなで下ろしました。
Cさん
- 私は設備担当者として、今回のプロジェクトに携わりました。A所長とBさんと同じように、既存の本社工場の稼働を止めてはならないプレッシャーと共に、新工場の設備に関わる別プロジェクトも同時並行で進んでいたため、そちらとの調整にも苦労しました。具体的には、繁忙期になると工場内で使用する電力量が増えるため、敷地内に自家発電機を設置しようというプロジェクトでした。ガスを使ったコージェネレーションシステムで、発電によって発生した熱を空調にも利用するというものでした。
FSSC 22000対応工場のための各種連携
Aさん
- 隣接地に稼働工場があるという点の他に特筆すべき点は、この新工場がFSSC 22000対応工場であるため、FSSC 22000の要求事項に適合する建屋になるよう、さまざまな専門家との連携が欠かせない点でした。例えば、製造エリア内にはガラスが使えないため鏡もステンレス製にすることや、気流や空調をコントロールするため、出入り口にはエアカーテンを設置するなどです。もちろん我々本間組だけで実現できるものではないため、それぞれの専門家との連携をとって進めました。
Bさん
- FSSC 22000の要求事項に適合させるためには、普段の建築ではあまり気にしないような細かな点まで確実に条件をクリアする必要がありました。冷蔵庫や冷凍庫も、建屋を建てた後に搬入・設置するのではなく、建屋の一部として作る必要があり、断熱パネルの一種である「冷凍パネル」を使用してつくりました。
発注者のご希望を叶えることが使命
Aさん
- 新工場の内部に設置される設備も日々進化するため、発注者である一正蒲鉾株式会社様は、工場の建設が始まった後も検証・検討を続けられました。その結果、やむを得ず設計変更が起こることとなり、現場で監督業務を担当していた若手社員や、作業に当たってくださっていた協力会社の職人さんたちもその対応に追われました。但し、私たち本間組としては、発注者のご希望を叶えることが使命であり、機能面を満たしつつ品質を確保した建物を提供するために、協力会社と共に可能な限りの調整や工夫に努めました。結果として発注者の納得のいく工場が完成し、翌年2023年春より無事稼働されたことを大変喜ばしく感じました。
Bさん
- 発注者のご要望に応えるため、所長と私は全ての会議に出席していました。この工場建設に関するものでは、定例会議・建築会議・設備会議の3種類が週に1回ずつ。この他に先ほどCさんが触れていた、コージェネレーションシステムに関するもので、全体会議・定例会議・分科会の3種類が2週間に1回ずつ。とにかく会議と関係業者が多く、進捗管理や設計変更等のタイムリーな情報共有がとても大変でした。ただ、間違いなく言えるのは、私たち2人が会議に出席し、なかなか現場を指揮する時間が取れない中、代わりに現場を回してくれていた若手社員たちがいたからこそ、完成した工場です。関わった人全員、誰一人欠けても実現しなかったプロジェクトだったと思います。
Cさん
- この工事の間、私は設備担当者として現場に常駐していました。変更が生じた際に即時に対応するためです。工場の設計図も一旦決まってはいたものの、工場内部に導入するシステムや設備機器の内容が変更となり、設計変更が必要となることもありましたが、発注者の「新工場の機能をより良くしたい」というご希望・熱意をひしひしと感じていましたので、私たち本間組のメンバーも一丸となってそれに応え続けたことで、知識も技術も鍛えられた貴重な経験でした。
Dさん
- 当時、私は新入社員で、ここが初めての現場でした。右も左も分からないまま、協力業者の方々に指示を出していたと思います。工事内容に変更があるたびに協力会社の職人さんに作業を止めてもらって、変更内容を伝えていましたが、毎回その理由を上手く説明できず、よくBさんやCさんに電話をしてヘルプを求めていました。協力業者の方々に納得してもらえず、悔しい思いをしたこともありました。でも、諸先輩方はいつも優しく教えてくれましたし、「みんなで一緒に頑張ろう」という雰囲気が現場事務所にあり、荒波にもまれつつ、成長できた良い1年でした。
経済活動を陰で支えるパートナーとして
当工場竣工後、各種アフターメンテナンスも本間組が担当しています。滞りなく竣工できたこと、また、建設時にメンテナンス時のことを考慮したご提案を行ったことで、信頼を得る事が出来たと自負しています。工場は機器の能力や制御等が正常に稼働することで、製造ラインが機能するため、それらを支えていくことが大きな役割となります。建設を担当した我々本間組も、「建てておしまい」ではなく、この先も一正蒲鉾株式会社様の経済活動を陰で支えるパートナーとして、頼りにしていただけるよう精進いたします。
工事概要
工事名称 | 一正蒲鉾株式会社殿(仮称)本社第二工場建設工事 |
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発注者 | 一正蒲鉾(株) |
施工場所 | 新潟県新潟市東区津島屋七丁目77番地 |
工期 | 2021/11~2023/4 |
建物延面積 | 8,563m2 |
構造 | 鉄骨造 |