本間組が挑む最難関ミッション、「新ランドマーク 古町ルフルを建設せよ」
2010年、大和百貨店閉店。新潟の中心街から賑わいが消えてしまうのでは・・・。
そんな中、「もう一度、古町に活気を!!!」 市民の大きな期待を担って、2016年、新ランドマーク「古町ルフル」の建設が始動しました。第一期のゴールは2020年春、そこへ向かう本間組の挑戦の背景に迫ります。
古町再興への熱い思いを、建設技術で支えたい。
新潟市中央区に拠点を置く本間組は、創業当時から古町エリアで数々の建物を建設してきました。大和百貨店撤退の情報をキャッチして以降、将来に向けた新時代の建築や再開発を見据えて営業活動をスタート。その過程で地元商店街組合や地権者の皆様、さらには市民の方々の古町再興への熱い思いに触れ、本間組社員が一丸となって再開発事業を建設技術で支えたい、再開発チームの一員として、共に取り組んでいきたいという信念が強固なものになっていきました。
しかし、再開発事業を進めるためには、通常の請負工事と異なり、地権者に帰属する以外の敷地や床の引き受けなどテナント誘致を行わなければなりません。そこで本間組は、国際総合計画とタッグを組んで特定業務代行者としてこの課題をクリアし、新たなビジネスチャンスとして受注に至りました。
そして、いよいよ地上12階、延べ床面積約3.3万平方メートルの本間組にとっても大事業となる「古町ルフル」建設が動き出しました。
スタートした「古町ルフル」建設事業には様々な課題がありました。
第一は立地の壁です。現場は四方で道路に面しているとはいえ、柾谷小路は1日300台のバスが止まるバス停とアーケードでふさがれ、古町通はそもそも車両通行禁止で、千歳小路は狭小という環境でした。工事車両の出入が可能なのは西堀だけですが、そこにもタクシーベイがあり、進入の妨げになっていました。工事のスムーズな進捗のための交渉や調整を担う営業の伊藤は、商店街や自治会、交通事業者、さらに近隣地権者の皆様などへの協議や調整、そして情報共有を粘り強く重ねました。
工事全体を通しても、資材搬入のためには柾谷小路からのアクセスは欠かせません。西堀のタクシーベイ移設や柾谷工事のバス移設とアーケード撤去の実現に向けて、「交渉先は約20団体、古澤所長と共に参加した協議は60回以上。粘り強く説明し、再開発への思いを理解して頂く中で、西堀・柾谷小路両面からの搬出入が可能になりました」と伊藤。
「これまで工事用車両の通行さえ制限されていた柾谷小路に、工事用ゲートを設けたのは私たちが初めて。不可能とあきらめず、関係先の要望と利害を調整したうえで使用条件を整理し、しっかりとした安全対策を練り上げながら真摯に協議を重ねたことで、達成することができました。目標のためには行動あるのみです。」所長の古澤が力強くそう語った。
パズルを組むように巨大クレーンで鉄骨を組み上げる
第二の壁は施工ヤードの狭さでした。建物はほぼ敷地いっぱいで、市街地のため周囲に空き地もありません。また、敷地の一角には供用中のビルもあり、クレーンの設置場所や資材置き場の確保が困難でした。そこで、小回りの利く油圧クレーンによる建て逃げ方式で一部を先行して建設し、その後390tの巨大タワークレーンを5階に設置。「仮設開口部を最小限とし、4階以下の内装工事の同時進行も可能に。コスト削減と合わせて工期短縮も達成することができました。」と、副所長の加納。
鉄骨・上屋躯体工事が終了し、役目を終えたタワークレーンが解体されると、2020年2月の完成を目指して内装や設備工事が本格化します。「むしろこれからがピーク。約3.3万平方メートルをもれなく仕上げ、オンスケジュールで進めていきます」。市民の方々の期待に応える建築物だから、引き渡しまで気は抜けないと加納は決意を語りました。
複雑で斬新なデザインに、トライ&エラーで立ち向かう。
そして、第三の壁は特徴的な外観デザイン。デザイン事務所が仕上げた実施設計は、「受注時の基本設計とかなり異なるもので、愕然としてしまいました・・・。」と、工事長の吉川が当時を振り返る。「古町ルフル」のデザインコンセプトは『櫓(やぐら)』。ガラスを多用し、パネルや木調フレームをランダムに配置し、外壁面が微妙に出入りする斬新なデザイン。「仕上げの納まりを踏まえた下地の取り合いに高い精度と繊細さが求められます。しかし、複雑な設計の具現化に挑戦できるのは、まさに技術者としてのやりがいと考え、協力業者と汗をかきながら前向きに挑みました」。
強度や品質、コスト面も勘案して設計図から施工図や製作図を作成し、ガラスを多用した傾斜や出入りのある外壁を精度よく安全に取り付けるため、外部足場とつなぐ特殊な形状の金具を考案し、現場では作業員と施工手順を何度も確認しながら工事を進めました。「入念に準備しても起こる想定外のトラブルにも、トライ&エラーを繰り返して立ち向かう毎日です。「古町ルフル」は間違いなく私たちの代表作になるはずです。」という吉川の言葉に、社員たちは大きくうなずきました。
現場管理にICTを活用、本間組初の取り組み。
本間組がメインとなる初めての大規模再開発事業で、市街地ゆえの作業環境や多くの制約がありますが、「古町ルフル」の建築においては、特殊工法等の新規技術は用いられていません。「一つひとつは基本的な技術で、それを厳しい制約の中で確実に、また創意工夫しながらやり遂げることが求められました。」
このような環境で、工事主任の大森は「よく見てよく考える」を徹底したと言います。本間組の5名のベテラン社員と2名の新人が、40社に及ぶ協力会社の作業員と共に、緻密なスケジュールに従って動くのです。人とモノの管理は重要でした。そこで本間組として初めて施工管理アプリを導入し、資材搬入・作業計画・重機稼働計画・記録などをタブレットで共有することで、コミュニケーションの促進と作業の効率化を図りました。また、各種検査や記録の管理においても当社のモデル現場として各種アプリを導入し、生産性向上を目指しました。
グランドオープンまで一丸となって邁進するのみ
2020年2月の「古町ルフル」完成は第一期のゴール。続けて、再開発事業の第二期が始まります。それは、敷地内の西堀Nビルの解体と広場の整備、そして、古澤が本工事において難関の一つとして考える地下街との接続工事です。「基礎工事でも砂地盤で水位が高い地下工事は非常に神経をつかいました。歩行空間を確保しながらの工事ですから、建築と土木の総合的な技術力が必要です」。
「信頼できる優秀な部下たちが力を発揮し、私についてきてくれたから、また、市民のみなさんの期待や温かな励ましがあったからこそ、ここまで成し遂げられました。もう一歩です。この事業の経験は、社員の実力をレベルアップし、本間組としても大きな成長につながります。最後まで誠意を尽くして造り上げたいと思っています。」と、古澤は力強く語りました。
グランドオープンは2022年春、それは本間組の新たな歴史が生まれる日でもあります。
工事の記録
古町ルフルの建物建設について、解体から完成まで、工事の状況を定点撮影しましたのでぜひご覧ください。
着工前 2016.11.30
解体状況 2017.08.31
解体後更地 2018.02.15
2019.01.30
2019.02.28
2019.03.29
2019.04.26
2019.05.31
2019.06.28
2019.07.31
2019.08.31
2019.09.30
2019.10.31
2019.11.29
2019.12.26
2020.1.30
2020.3.12 撮影
本工事について
工事名 | 古町通7番町地区第一種市街地再開発事業施設建築物新築工事 |
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施工地 | 新潟市中央区古町通7番町及び西堀前通7番町地内 |
工期 | 2018年2月28日~2020年2月29日 ※広場等は2022年頃完成予定 |
面積 | 敷地:5,221.26平方メートル |
建築:3,653.80平方メートル | |
延床:32,870.83平方メートル | |
構造 | 鉄骨造、地上12階建て、最高高さ56メートル |
工事開始間もないころの様子や工事進捗写真は、こちらからご覧いただけます。