HONMA STORY

HONMA STORY 日常生活を豊かにする

建築×土木で「古町賑わい創出」のミッションを完遂

2020年4月に完成した「古町ルフル」には、商業施設とオフィス、市役所庁舎、大学のキャンパスが集まり、多様な情報や価値を発信。そして、プロジェクトは第二期へ。「古町ルフル」の柾谷小路サイドに、西堀ローサ地下街とつながり、市民が集い、交流できる「広場」を建設します。古町の賑わい創出のための本間組の新たな挑戦が始まりました。

※この記事は、「古町ルフル」の第3弾です。
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ビル解体工事に続出した「予想外」

「古町ルフル」建築を完成させた加納は、引き続いて広場建設工事も担当し、同工事を所長として牽引しました。今回のミッションは、西堀ローサ地下街と接続させた全天候型の広場を造り上げること。回遊性を持つ広場は古町活性への切り札です。

まず、広場のスペースを作るため西堀Nビル解体に取り掛かろうとした加納ですが、予想外の事態に直面しました。「西堀Nビルは竣工から時間が経ち、正確な設計図が入手困難でした。そのため、現地調査によりはじめていくつかの問題が明らかになったのです」。

西堀Nビルの周囲には重機を配置するスペースがないため、屋上に重機を設置し、上部から解体する予定でしたが、重機を支えるには屋根や床材の強度が不足していました。そこで、全階に仮設の支柱を40㎝間隔に数千本設置して強度を確保し、ようやく解体に着手しました。

「予想外」は地下にも潜んでいました。当該敷地周辺は地下水位が高いため、地下2階分を一気に解体すると建物外周壁が自立できず崩れてくることが構造計算によって明らかになったのです。そこで既存の梁と柱の一部を補強材として残したまま解体し、新築の構造体を造って強度が出たところで梁と柱を撤去しました。「予想外の追加工事と対応で、工期は1カ月遅れました。しかし、最大の関門はこの後でした」。

水とライフラインを制し、地下街と広場を接続

広場と西堀ローサ地下街を繋ぐには、西堀通沿いの歩道の下を掘る必要がありました。歩道下には水・下水・電気・ガス・通信など多くのライフラインが様々なレベルで埋設されています。あらかじめ地下水を下げるための井戸を設けて対策を講じますが、「軟弱な砂地盤なので土砂が崩れてライフラインを切断するようなことがあれば、多くの市民に迷惑をかけ、また、作業員にも危険が及びかねない」と、加納はどのような方法で掘削すればよいか、土木事業本部にアドバイスを求めました。相談を受けた土木事業本部では、まず、現状把握のため、既存配管と水平位置・深さを図面上で確認し、CIMにより3Dにて視覚化して、施工方法を検討しました。その結果、歩道上の交通を保ったまま、上から掘るのではなく、横から掘り進める工法としました。これにより、一般の通行に影響を与えることなく工事を進めることができました。

多数のライフラインを避けながら山留・止水壁を構築するために採用したのは、セメントミルクを高圧で噴射しながら地盤改良を行うV-JET工法。地盤改良で土を固め、地下水を止めながら、ライフラインを避けて7.5mを掘り下げ、地下街へ。この作業は安食も担当していました。「地下街の壁に小さな穴を開け、徐々に広げて向こう側の景色が見えた瞬間が忘れられません。大変でしたが、この現場では、自分で考えて自分で行動するという経験ができ、大きな収穫になりました」と手ごたえを語ります。

「予想外」への対応と、難度の高い作業の連続で、接続工事を終えた時点で工事はさらに延び、合計で2.5カ月の遅れ。加納はこの時、工程表をすべて更新し、新たなスケジュールを関係者全員で共有しました。この頃から、地下の難関をクリアしながら、加納は、地上工事の詳細計画も進めていました。

ガラスの屋根を掛け、全天候型広場を完成させる

地下躯体工事に続いては、鉄骨を建ててガラス張りの屋根を造る工事でした。ここでは、狭小地の夜間施工という課題が待っていました。鉄骨は1本7t、樹脂フィルムを挟んだ強化ガラスは1枚400㎏。これらをクレーンで吊り上げて設置していくのですが、敷地条件から大型クレーンや車両の設置場所は国道(柾谷小路)の車道上となり、工事ができるのは、最終バスの出発後から始発のバスが走るまでの約5時間。夜間工事の上、隣の建物(古町ルフル)と鉄骨の距離はわずか20㎝。「風雨が強いと作業は中止になります。それほど集中力と熟練の技術が求められる難しい作業を時間制約がある中で行うのですから、現場は張りつめていました」と、加納。そして、ようやく地上9m、地下7m、16mの大吹き抜け空間が完成。古町ルフルの扉同様に新潟漆器の赤をイメージしたエレベーターの装飾パネルも設置され、社員も協力会社の作業員も「完成のその日」へ向かって最後の仕上げに入っていきました。

この現場は新潟市の中心街にあり、多くの市民が行き交います。そのため、工事の安全と現場周囲の美化維持を担当した高橋が5年間続けたことがあります。それは、早朝のごみ拾いです。「毎朝、作業開始前に現場周辺を点検しながら路上のごみ拾いをしました。みなさんに愛される建物になってほしいから、自分ができることを続けただけです」。すべては古町の新たな魅力創出のため。市民に愛され、誇りに思ってもらえるランドマークの建築を多くの社員の努力が支えていました。

2022年3月に広場は完成し、確認や検査を経て、3月25日のグランドオープンへ。いよいよ「古町ルフル」の全貌が明らかになります。

オールホンマで挑んだ経験は新たな可能性を拓く

「古町ルフル」建設において加納は建物と広場の両方に関わりましたが、広場は建物とは違う難しさが多くあったと振り返ります。「最大の難関は、地下街との接合工事でした。地下はどうなっているのか、何があるのかがわからない。想像をはるかに超えて私たちに難題を突き付けてきました。土木事業本部の助言がなかったら、成し遂げることができなかったかもしれません」。実績を積んできた土木と建築の両部門が一つになったとき、その力は何倍にもなり、難題を乗り超えることができると、加納をはじめ多くの社員が実感しました。その自信と経験は、本間組の可能性を拡げ、新たな道を築いていきます。

古町再興という使命を持って挑んだ「古町再開発事業」では、本間組は、建設という専門分野だけでなく、地域や行政への働きかけ、公共交通や企業との協力を経験し、また、地域の人々の熱い思いに触れることができました。同時に、老朽化する建築物への対応、既存施設の活用にも挑戦しました。それは、持続可能な社会の構築につながり、本間組の新たな可能性を拓いていくでしょう。

工事の記録

古町ルフルに隣接する広場について、解体から完成まで、工事の状況を定点撮影しましたのでぜひご覧ください。

  • 2020.04.28

  • 2020.05.29

  • 2020.06.30

  • 2020.07.30

  • 2020.08.31

  • 2020.10.01

  • 2020.10.30

  • 2020.11.30

  • 2020.12.28

  • 2021.01.28

  • 2021.02.27

  • 2021.03.30

  • 2021.04.30

  • 2021.05.31

  • 2021.06.30

  • 2021.07.31

  • 2021.08.31

  • 2021.09.30

  • 2021.10.29

  • 2021.11.30

  • 2021.12.29

  • 2022.01.31

  • 2022.02.28

  • 2022.03.29

本工事について

既存建築物解体整地工事

工事名 古町通7番町地区第一種市街地再開発事業 既存建築物解体整地工事(2期)
施工地 新潟市中央区古町通七番町地内
工期 2020年3月1日~2021年10月31日
面積 敷地:5,221.26平方メートル
建築:283.00平方メートル
延床:3,155.34平方メートル
構造 SRC造、地下2階、地上9階、最高高さ39m、最高深さ10.5m
用途 銀行、事務所

ルフル広場工事

工事名 古町通7番町地区第一種市街地再開発事業 ルフル広場工事
施工地 新潟市中央区古町通七番町地内
工期 2020年10月6日~2022年3月31日
面積 敷地:5,221.26平方メートル
構造 S造、地下1階、地上1階、最高高さ9.8m、最高深さ10.5m
用途 公共用歩廊
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